そんな子どもたちの心を少しでも癒してあげたい。そんな思いで、この日は 馬頭琴奏者 バトエルデネ氏と
杉並区立西田小学校を訪問した。
馬頭琴の澄んだ音色とともに語る「スーホの白い馬」。
こどもたちはみるみるお話しの世界に引き込まれてゆく。
脳裏に浮かぶのは 広々とした草原。そこにたたずむ遊牧民の少年と 草原を走る真っ白い馬。
そして主人公の気持ちになって涙ぐんでいる。みんな優しい子どもたちだ。
朗読 の後は 馬頭琴についてや モンゴルの遊牧民の生活を紹介した。
モンゴルには、いまでも約80万人の遊牧民がいるという。
彼らは、ゲルと呼ばれるテントに住み 春から秋にかけて 草原を転々と渡り歩く。
いつも自然とともに暮らす彼らの生活には 電気もガスもない。
燃料は 牛の糞を乾燥させたのものだそうだ。
「え~臭くないの~!」とこどもたち。
よく乾燥させた牛の糞は ちっとも臭わない。
そればかりか その牛の糞を燃やして立ち上る煙には ウイルスを殺し、病気を治す効果まであるという。
草原の薬草を食べているからなのだ。(日本の牛とは違うのね)
日の出とともに起き、牛や馬の世話をし、その肉を食べ 乳を飲み
大人はヤギの乳の酒で楽しく歌い
こどもは骨でおもちゃを作り 夜は星を眺め、早くに寝る。何と無駄のない生活なのだろう。
そんな生活を 2000年も前から続けている。
ちなみに モンゴルも地震の多い国だという
けれど 地震で家が壊れても 「あ、痛て!で済んじゃうからね!」 と バト氏は笑った。
計画停電で あたふたする私たちとは大違いだ。
いままであたりまえに思えていた 便利で豊かな私たちの暮らしだが、
何と脆い、そして無駄の多い生活だったのだろう。
バイオ燃料だけで何千年も生活してきた遊牧民の暮らしこそ 地球に人に優しい。
それでも東北の人たちは、都会の私たちよりもはるかにたくましい。
テレビでインタビューされた多くの人は 「無事です、元気です、大丈夫」という
大丈夫なはずがないのに大丈夫だとこたえる。
辛い避難所生活でも、 地域の人が助け合い、団結し 復興に向けて立ち上がろうとしている。
そしてまた、漁港を造り あの牙をむいた海へまた漁に出たいという。
何とたくましい 強い人たちなのだろうと 思わずにはいられない。
私たちも何か力にならなくてはいけないとおもう。
この度の地震で、日本は多く尊い命と犠牲を払ったが、
この教訓を これからの未来に生かさねばならないとおもう。